アパート経営で心配すべき6つのリスクと実際にあったトラブル事例

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アパート経営による安定的な家賃収入は、会社勤めをしながらの収入としても、定年後の老後資金としても非常に魅力的な投資方法のひとつです。

しかし、アパート経営にリスクはつきものです。たとえば、東京世田谷区のアパート1棟の平均価格は約15千万円。安い地域の足立区でも平均8500万円が相場のアパート経営。高額であるがゆえにそのリスク対応ができなかった際の代償も大きいのが現実です。また、不動産企業や金融機関とのトラブルも一部ではありますが発生しているのも事実です。

一方、インターネットで見かける情報は正しい情報もありますが、正しくないものや情報発信者の解釈が強すぎて実態とは乖離している可能性もあります。

今回は土地活用プランナーの資格を持つ筆者が公平な視点でアパートリスクについて解説します。リスクを知り、対策を得ることで、安全なアパート経営を目指しましょう。

1.アパート経営6つのリスク

 アパート経営には6つのリスクが存在します。

1-1.借入リスク
1-2.空室リスク
1-3.家賃低下リスク
1-4.家賃滞納リスク
1-5.自然災害リスク
1-6.人災リスク

1-1.借入リスク

アパート経営をする際、すべてを自己資金で始められる方は少なく、多くの場合、金融機関から借り入れてアパート経営を始めます。つまり、借り入れることによる返済が生じます。

自己資金は50%以上あるのが理想であり、その自己資金のうちの一部を手元に残しておくことが重要です。例えば、5000万円の物件なら2000万を頭金として支払った上で、500万円は手元に残し不足な事態にそなえておくと安心です。

また、借り入れによる返済が負担になりすぎないようにするためには2つのポイントがあります。

1-1-1 返済期間は極力短くする

返済期間が長くなるほど金利の支払いは続きます。そのため返済期間を極力短くすることが重要です。
例えば、5000万円を年利4%で借入すると、10年と30年では最終返済額に2500万円以上の差が出ます。

返済期間が長くなることによる返済金額の変動
5000万を年利4%で借りた場合】※固定金利で計算

返済期間目安

 

月々の返済額が多い場合、月当たりの収益は少ないかもしれませんが、返済期間が短くなる分、金利の支払いは不要となります。

一方で返済期間の目安ですが、会社員の方は定年までに返済できるように返済プランを検討しましょう。

 

1-1-2 修繕費としての自己資金を手元に残しておく

返済期間が短ければ金利分の支払いが浮くため返済額は多い方が良いのですが、修繕費のためにも手元にはすぐに使える資金は残しておきましょう。

修繕費としては、大きくわけて大規模修繕と、各住戸のエアコンや給湯器の故障対応による個別修繕の2つが考えられます。

大規模修繕の場合、外壁改修や屋根の防水、給水ポンプの修理といった定期的に行う建物全体に及修繕を指します。

たとえば、外壁がコンクリート製のような一見頑丈に見えるアパートでも、1015年に一度ほど外壁工事をしておかないと、外観の劣化だけではなく漏水や外壁落下事故にもつながります。大体費用としては300万円程度かかりますが、大規模修繕は前もって計画しておけるため、だいたい何年後に修繕するのかの計画を立て、月々積み立てていくとよいでしょう。

一方、個別修繕は各戸にもともとつけているエアコンや給湯器の故障などによる修繕であり、いつ修理や新品の購入が必要になるかわかりません。そのため、すぐに使えるお金として確保しておく必要があります。

このようにアパート経営には修繕にそなえる必要があり、月々の返済額を考えるときには修繕の積み立ての考慮も必要です。一般的に家賃収入の5%は積み立てられるような返済計画を建てましょう。

また、中古アパートを購入して賃貸経営する場合は、建物の修繕に関する履歴を必ずチェックしましょう。いつ、どこを、どのように修繕したのかを記録した修繕履歴をチェックすることで、建物自体の耐久性に加え、その後の修繕工事の必要性を知ることができます。

 

1-2 .空室リスク

空室が出れば収入が下がります。これは誰もが避けたい事です。そのためにも、これから土地を探して建築する場合は空室になりやすい立地を避けるべきです。具体的には、以下に該当するようなアパートは空室になりやすい傾向にあります。

  • 最寄り駅から徒歩15分以上かかる
  • コンビニやスーパーなどの商業施設が遠い
  • 線路や幹線道路が近く電車や車の音が響く
  • 産業施設の騒音や悪臭がする
  • 治安が悪い

改めて見るとこれらの条件にあてはまる物件は空室となりやすいことは想像ができるかと思いますが、日中だけではなく早朝や深夜にもその場所に足を運ばないと気付かないこともあります。必ず複数の時間帯で近隣の環境をチェックする必要があります。

一方、土地をすでにお持ちの方でアパート経営を検討中の方にも空室を避けるうえで重要なポイントは、あらかじめどのような人を想定してアパート経営をするかです。たとえば、お部屋探しの際に譲れない設備や仕様に関するアンケートでも以下のように男女で大きな違いがあります。

お部屋探し男女別意識調査
設備・仕様に関する考え方

お部屋探し時に必要な設備

東急リバブル調べ
https://www.livable.co.jp/chintai/plus/advice56.html

また、不要な設備についても女性は「オール電化」にこだわっていないことがわかります。

お部屋探し男女別意識調査
必要性を感じない設備・仕様

お部屋探し時に不要な設備

東急リバブル調べ
https://www.livable.co.jp/chintai/plus/advice56.html

このように空室を出さないアパートのためには、そのエリアでどのような人たちにどのようなニーズがありそうなのかを実際に自分で足を運んで把握することが重要です。

1-3 .家賃低下リスク

家賃が下がる=収入源となるため家賃の低下は避けたいものです。家賃を下げざるを得なくなるのは、アパートの価値が下がるためであり、その原因は主に2つ挙げられます。

アパートの価値が下がる原因

  • 建物自体の問題:築年数が10年を超える
  • 外部環境の問題:近所に新築のアパートやマンションが建つ

【築年数が10年を超える】
築年数が10年を超えると、建物自体が古くなり見栄えが悪くなります。また、部屋の設備が古くなりますし、どうしても部屋内が汚れてしまいます。そうするとアパートの価値が下がります。アパートの価値が下がると住みたいと思う入居者が減り、入居者が集まりづらくなり、家賃を低く設定しないと空室が続いてしまいます。

築年数が経過するとどのぐらい家賃が下がるかの目安は以下です。

家賃低下の目安

  • 築年数10年→新築時より10%減
  • 築年数20年以上→新築時より20%減

新築時家賃10万円のアパートでも、10年後は9万円になり、20年以上では8万円になります。

家賃低下を防ぐためには、リフォームがおススメです。床のフローリングを変える。壁紙を変える。水回りの設備を新しくする。こうする事で築年数10年ぐらいまで価値を戻す事ができます。

そのような中、特に重要なのは外壁塗装です。アパートの外壁は素材にもよりますがだいたい10年から15年で汚れだけではなく、ひび割れ、塗装はがれ、さび、コケがついてしまいます。外観が劣化しているアパートは空室になるリスクが高くなります。まずは入居の検討物件のひとつとして検討してもらうためにも、外壁修繕を行うとよいでしょう。

費用はアパートであれば大体300万円で工事期間は2-3週間です。費用はかかりますが、空室状態に歯止めをかけるためには重要です。

【近所に新築のアパートやマンションが建つ】
近くに新築のアパートやマンションが建つと、アパートの価値は下がります。しかし、外部環境を事前にコントロールすることはできないため、この場合は競合となる物件との差別化を図り、入居者を集める必要があります。

差別化を図るためには、入居条件で差別化できるような対応策を行うことと、入居募集のアピールを工夫することです。

近所に新築マンションやアパートが建った場合の対応策

  • 入居条件で差別化する
  • 募集時のアピールを工夫する

入居してもらえるよう競合となる物件にはない条件で入居者を募集しましょう。

特におススメなのが、工事が不要な「ペット相談可」の物件にすることです。「ペット可」ではなく「相談可」とすることで、希望があった際に具体的な検討を入居希望者と取り決めることができます。退去時の汚れについては借主側に退去時の原状回復を取り決めておくことで退去時のトラブルを回避できます。また、ペット可物件は敷金を1ヶ月上乗せするオーナーも多くいます。

それ以外の競合物件との差別化には、近隣の物件を調査したうえで、クローゼットを広めにする、キッチン周りを拡充させる、防音にするといった対応策も考えられますが、状況によっては間取りの変更も発生し工事費用もかかります。そのため、室内のリフォームの際には

フローリングの張替えだけでもずいぶん印象がよくなります。もともと厚みのあるシートタイプのフローリングの場合、6帖程度であれば6-7万円ほどで張替えられます。

そして、募集時にも工夫が必要です。たとえば『○○年〇月リフォーム 新築同様で 家賃○○円』などの訴求を入れ、新築と同じ仕様で、他の新築アパートよりも安いという事アピールすることもおススメです。

また、入居時の敷居を下げるためにある一定期間家賃を無料にするフリーレントを導入することも効果的です。

 

1-4. 家賃滞納リスク

家賃滞納は収入が減るのでオーナーにとって非常に大きな問題です。

家賃滞納者には早急に支払う事を命じ、それでも対処しない場合は退去させるしかありません。家賃を回収する3つの方法が考えられます。

家賃回収方法

  • 入居者から回収する
  • 連帯保証人から回収する
  • 事前に契約している家賃保証会社から回収する

【入居者から回収する】
可能であればこの方法が一番です。家賃滞納が続くと退去命令を出す事になりますが、そうなるとその部屋は一時的に空室になります。その間収入は減るので資金計画にズレが生じます。これを避ける為にも、早急に入居者から回収し、滞納が無いように呼び掛けるのが一番の方法です。

【保証人から回収する】
賃貸契約時に連帯保証人を記載する欄がある場合は、保証人から回収する方法があります。契約書の家族、親族、友人など属性は様々ですが、理由を説明し早期に回収をします。

また保証人には2つ存在します。【保証人】と【連帯保証人】です。保証人は契約者が行方不明または破産していなければ、契約者に請求するように主張ができます。

連帯保証人はいかなる場合でも支払わなければならないという事となり、賃貸契約書では連帯保証人しか認めない契約がほとんどです。

 

【家賃保証会社から回収する】
連帯保証人ではなく、保証会社に任せるオーナーも最近は増えてきています。理由は確実に回収できるからです。賃貸契約とは別に入居者には保証会社とも契約させます。入居者は保証会社へ保証金を事前に支払い、入居ができるというシステムです。こうする事で万が一その入居者が滞納しても、オーナーには保証会社から家賃が振り込まれる事になっています。そのため連帯保証人よりも家賃保証会社に任せるのをオススメします。

1-5. 自然災害リスク

火災や地震などのリスクを事前に100%回避する事は不可能です。建物への被害自体に加えてローンが残っている場合、家賃収入が途絶えてしまい返済が難しくなる可能性も生じます。

そのため最低限以下の保険に入っておくことがおススメです。

自然災害リスク回避のために入っておきたい保険

  • 火災保険
  • 地震保険
  • 家賃補償特約

火災保険は、火災による被害だけではなく、落雷や台風、水漏れや盗難といった事故も補償対象としているプランが多くあります。ただし、地震による被害は対象外となるため、火災保険に加えて地震保険への加入が必要となります。

一方、自然災害は冒頭でも説明した通り、建物自体への被害だけではなく、家賃収入がなくなることも大きな問題となります。そのため、物件に損害が生じて家賃収入がなくなってしまった場合の家賃の損失を補償する家賃補償特約に入っておくと安心です。

1-6. 人災リスク

アパートは人が集い住まう場所であり、騒音や悪臭、ゴミ出しなどの近隣トラブルなど人に起因するトラブルへの対処は必須です。

これらは当事者に対し早期に呼び掛け、やめさせる事が出来れば問題はありませんが、状況が改善されないと他の入居者が退去し、空室が出てしまいます。

また入居者だけでなく、隣接している住居からクレームが入る事もあります。そうすると近所から評判が下がり、オーナーも含めてアパートの入居者全員にも影響がおよびます。そうなると入居者の居心地が悪くなり複数の空室が出る可能性もあります。

解決方法は管理会社を通じて止めるよう呼びかける。それでもダメなら退去してもらう以外ありません。

また、近隣トラブル以外にも自殺や他殺といった犯罪の可能性も考えられます。入居者選びを管理会社に任せるオーナーは数多くいますが、どのような入居者が住むのか自分でも把握しておく事で、人災を最小限に防げます。人柄や現在の勤め先などを見極め、不慮の事故が起きないよう心掛けるしかありません。

入居審査の一環として入居希望者ひとりひとりに実際に会って話してみるほかには、信頼できる管理会社を選ぶことも重要です。

どのような管理会社を選ぶかは複数社の提案を聞き、総合的に判断すると失敗しない会社を選ぶ確率が上がります。以下のようなサイトでは管理会社選びが簡単に比較できます。

2014年・2016年・2017年に楽天リサーチの調査でNO,1を獲得した比較サイト。100社以上の管理会社に問い合わせや電話オペレータによる無料相談も可能です。

マンション貸す.COMでは全国394社へ問い合わせができるサイトです。マンションの問い合わせが多いサイトですが、アパートなどの問い合わせも可能です。

2.実際にあったトラブル
~企業のいいなりにならず失敗しないアパート経営~

さまざまなリスクが想定されるアパート経営ですが、もちろんリスクを上回るメリットも当然あります。企業は収益ふくめそのメリットを全面に押し出して営業してきます。

そのため、提案企業とトラブルになるケースも残念ながら実際にはあります。

 

2-1.不動産屋と金融機関に潜むトラブル 
ローン返済ができるかは自分で判断

多くの場合、アパート経営をする際には金融機関から融資を受けて契約することになりますが、不動産企業や金融機関が主張する内容を必ず自分の視点で判断するようにしてください。

というのも、不動産企業も金融機関も収支が不安定な物件を紹介するケースがあります。

不動産企業は入居者を集めづらい物件、人気が無い物件など経験やデータで分かっていますが、そのような物件でも販売すれば売り上げになるため提案します。

また、金融機関は万が一返済が滞った場合、物件を差し押さえ『競売(けいばい)物件』として売りに出すことができるため、多少収支が不安定だと懸念された場合でもひとまず貸付することもあります。

購入検討している物件の事業性を自分で判断するのは容易な事ではありません。
どうしても悩んでしまう場合は以下に相談する事をオススメします。

賃貸経営110番は賃貸経営においてあらゆる面でサポートをしてくれる機関です。

初回の相談は1時間まで無料です。その後は料金が発生しますが、アパート経営で失敗する事を考えると最初は第3者目線で考えてくれるプロに相談することを強くオススメします。

2-2.サブリース契約のトラブル

サブリースとは、その物件を不動産会社が丸ごと借り上げて、毎月一定額の家賃をオーナーに支払う形態を指します。

つまり、入居者がいてもいなくても、一定額の家賃が支払われるというメリットがあるため、オーナーにとっては安心感のある契約となります。しかし、サブリース契約はおススメできません。

なぜなら、サブリース契約は入居者がいなくても不動産会社が家賃を負担する分、企業側としては初回建築コストに上乗せをするためです。どれほど高くなるのかは各社違いますが、通常の1.3倍ほど高くなります。たとえば、通常建築費7000万なら9100万まで高くなります。

それ以外にもサブリースは契約後トラブルとなるケースが発生しています。

 

サブリースにまつわるトラブル

  1.  満室になっていても、満額は入ってこない
  2. 保証されている収益が次回の契約更新時に見直され下がる
  3.  入居者が誰か分からない
  4. サブリース会社が倒産すれば家賃が支払われない
  5. 突然解約される
  6. オーナーからの解約が難しいまたは違約金の請求がある
  7. 建物修繕費用の請求は別にある

これらの内容は契約書に記載されているため、契約した時点で上記の内容が有効となります。

このように家賃が保証されているサブリースは安心感があると思われがちですが、企業の言いなりにならないよう契約前に諸条件を必ず確認しておきましょう。もし可能であれば弁護士に仲介してもらい、契約内容を100%把握するようにするのをオススメします。

 

3.まとめ
リスクを理解してマンション経営を

アパート経営には様々なリスクがあるのが理解いただけたでしょうか。その一方で回避方法も理解しておけば、リスクを少なくして賃貸経営できます。